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忘年某月某日
まだまだ暑い夕方、店より15分ほど都電にゆられ、最近見つけたお店に伺う。
居酒屋というより、小料理屋という方がぴったりのお店。
賑やかなところから少し外れた静かな通りに、この小料理屋はある。
引き戸を開けると、テーブルが3つと、小さなカウンターが見える。
ご夫婦だけの、大変落ち着けるお店である。
テーブルには、箸が準備してある。
この箸が、私のお気に入り。
大袈裟に言うと、お店の料理がわかってしまう箸である。
何気ない竹の箸であるが、先端が、極めて細く、非常に繊細に削ってある。
私にとっては、素晴らしい箸に見える。
お酒は、月山の夏酒をいただく。香りが良く非常に爽やかな酒である。
お通しは、冷たく冷やした湯葉のすり流し。
滑らかで、程よい塩味と湯葉の甘さが、日本酒にぴったりである。
この時点で、ここが普通の居酒屋でないことが分かる。
ご主人は、真っ白な日本料理人の白衣を、きちんと着ており、奥様は、柔らかな言葉使いの静かな方である。
お料理は、しっかりとした出汁を基本とした日本料理。
刺身も、つまにこだわり、旬の素材で整えてあり、非常に楽しめる。
白海老のきもあえ、すっぽんの小鍋仕立て、松茸の土瓶蒸しと、すべてに工夫の有るお料理をいただき、満足のひと時を過ごさせていただきました。 |