忘年某月某日
久々に、焼き鳥が食いたくなった。
人に教えたくない店のひとつが、ここである。
たかが焼き鳥、されど焼き鳥。
美味しく、雰囲気の良いところが少ない。
また、禁煙席があるのもありがたい。
つきだしが三品出る。
とり団子汁、白レバーペースト、生の水ナス。なかなかうまい。
まず焼酎の水割りを頼む。焼き物(器)は、店主自らの作品。
水割りの入った焼き物と一緒に、表面が霜で曇るくらいキンキンに氷らせたぐい飲みに、氷を入れて出してくれる。冷たくしても、そのままでも、という配慮である。さすがだ。
ささみをお願いする。レアに焼けてトロっとした肉に、スリたての本山葵が、香り良く甘みを添える。
次に、きもをタレで焼いてもらう。当然レア焼き。フレッシュなレバーの弾力が残った逸品。
続いてまた焼き物…というところだが、いつも席に着くと直ぐに、鶏鍋を注文することにしている。
ここでそれが、タイミング良く出来上がってくる。中身より、そのスープの方がお目当て。
蕎麦屋の抜きではないが、汁物が途中にあると、腹が落ち着くので、美味しく酒をいただくことができる。店主の作品の土鍋が、炭の入った飛騨火鉢に置かれ、グツグツ煮えている。
熱々の汁を頂き、冷たい焼酎を頂く。最高である。
せせり、ちょうちん、ぼんちり、最後にだし巻き卵をデザート代わりにお願いする。だしをぎりぎりまで入れ、ふっくら焼いた手間をかけた逸品。切ると、だしがたっぷり出て来る。大変美味しい。
いつも、お店から離れるまで送ってくれる、大変気持ちの良い焼き鳥屋さん。
見送られながら、「また来よう」と思う。 |